### 菜園の講義 ###

秋の農繁期がやってきた。

毎度のことながら、早く、早くと母にせかされ、土づくり、施肥、苗購入、定植と、

走りまわされている。

去年白菜を失敗したのを母が気にしているので、

今年は成功してやらねばというプレッシャーがある。

ので、マルチをして定植し、トンネルをかけた。

2枚あったネットが風で飛ばされて、なくなってしまったので、

不織布を買いに行かなきゃ。

バイトばかりに気を取られていると、収入は増えるが、あちこちポカがあって、

買い替えの品物が増えてくる。

この秋はバイトを減らして余裕があるので、家事や畑作業に精が出せる。

来月あたりは金欠病になりそうだが、その時はその時、

今は肩の痛みが大分引いて、

日一日と涼しくなってゆく秋の日は美しく、短くなりゆく午後の光が目にいとしい。

台風が過ぎて、無事だったナスを隣の畑のご主人が喜んでくれたのに、

花実がついてないと、勝手に見切りをつけた母が引っこ抜いてしまった。

夏が去って枝が伸びきったナスは一時花実がなくなってしまうが、そういう時は

伸びた枝を短く剪定してやると、じきに再び花実をつけて11月ごろまで秋茄子が収穫できる。

それを母に説明しとけばよかった。

わたしが何かにつけて講釈を垂れるのを嫌って、母はやりたいことに猛進する。

やれやれと思いつつ、市民農園を借りてよかったと思う。

わたしが開墾した菜園は今住んでるところからあまりに遠く、

バイトが増えて通えなくなったので近所の市民農園を1カ所レンタルした。

自分ではなかなか趣味を見い出せず、ふさぎがちの母のためにもなると思ったのだ。

作物が成功しようとしまいと、母が興味を持って取り組むこものがあれば、

過食気味の生活や、被害妄想的なものの考え方が矯正できると思ったのだ。

植物の性質や作業の工程を学ぶことで、客観的な考え方を身に着けることができるのではないかと。

母はわたしを含めた5人のきょうだいの母親だ。

しかし彼女は貧しさから小学校も満足に修業できずに、賢母とは言い難い人だった。

そしてわたしが中学生のころから妄想と、それを紛らわすためのアルコールに溺れるように

なってしまった。

そののちは彼女を厭うあまり、また家業が建売業という事情も手伝って(別居用の住居が調達できる)、

家族は散りぢりになった。

けれど頭は決して悪くはなく、根気もあるので、

わたしにどれだけのことができるのかわからないが、出来る範囲でつきあってやって、

老いゆく母の心の闇に光を投げかけたいと思うのだ。

集団の中で、行動に問題があり、その人ゆえに皆が不幸になるケースにおいて、

その人をいじめたり、なおざりにしたところで、問題は解決しない。

特に血縁という絶対的な縁故でつながれている運命共同体の場合は、

その人がはまっているドツボに一緒に入ってやる勇気が必要だ。

なんて、まるでわたしがものすごい親孝行な人に聞こえるけど、

家族の中でわたしが1番母とツノを交えた娘だろう。

そして今、一枚の畑の作業を分け合えるようになるまでの道のりは遠かった。

もしかして、どんな家族にもあることなのかもしれないけど。



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