###依存する人々###

ごちそうを食べ、プレゼントを交換し、楽しい挨拶を交わした特別の日々は去って、

通常の生活が戻っても、1度解放された欲望を引きずって耽溺の縁から抜け出さない人たちがいる。

節句の間だけの儀礼に過ぎない甘美な美辞麗句のままに、

いただいた祝儀を無駄に使い、飽食に走り、肥え太ってゆく。

誰でも一度温めた気持ちの転換には苦労するものだし、

光差すハレの状態からケを思い出す苦味はつらいこともあるが、

節制は人を美しく健康に保つものだ。


仕事の正月休みで余裕の時間をのんびり心地よい布団の中で過ごしていると、

その隙に母は言い渡している体重制限をとっくに超えて、

ひたすら飽食の高速道路を走り続けていく。

せっかくのお祝いの時期に厳しいことを言うのは気が引けるので、

親孝行だと思ってあれこれごちそうを用意したが、

母はさらに年末に姉からもらったお小遣いを浪費して、

ふと母を見かけるたびに勝手な食事シーンだけが目に映るようになる。

嫌がる母を説き伏せて体重計に乗せると、はたして制限体重の2キロ越え。


おととしの夏に生まれた隣家の女の子が、去年の夏ごろからけたたましく大声で騒ぐようになった。

どうしてあんな魂消る声で叫び続けるのか、田舎めいた街だから許されるのか、

女の子は気力の限りを尽くして叫び続ける。

反抗期なのだろうが、しかし隣から女の子を叱責するような家族の声は一切聞こえない。

ただ延々と生まれたばかりのみずみずしい声帯に酔いしれるかのような、悲鳴のような金切声が続く。

隣のご家族は女の子が自分で自分の行動に飽き、

自分で軌道を修正するのを待つというスタンスなのだろう。


わたしの父は子供が特に何もしてなくてもひどく殴る人だった。

わたしたちきょうだいはいつも父の暴力に怯え、みじめに傷ついていた。

またきょうだいが多く、つまりストレスが多いから互いの問題行動を早期に終わらせようと、

口や手が出たりしたものだった。

そういううちの方針からか、父亡き後もうちでは(主に母の)問題行動は、

常に妹とわたしが指摘し、話し合い、母に修正させようとする。

ネグレクトを決め込めば、母は果てしなく太って、

また新しいサイズの衣料品を用意しなければならないだろう。


女の子はこれからいろいろ学んで、金切声を出さなくても済む手だてを両親から豊かに与えられ、

感情をコントロールする知恵を学んでゆくだろう。

だが母に食べ過ぎを指摘すると、ただあてもなく亡父の悪口が出てくる。

感情の行き場がないということが飽食の理由だと言いたいらしい。


問題のある行動に依存する人を軌道修正させるのは傲慢なのだろうか。

家族内での問題行動を放置すると不経済に結びつくから、良かれと思って注意喚起を促すが、

相手は暴れる欲望を押さえつけられて、終生の仇のごとく憎まれる。

ただ年末にふらりと現れ、こずかいを握らせて帰ってゆく姉とは違い、

1年で最も食に粋の凝らされるこの時期を、人の欲望の始終と付き合わねばならないことは

業の煮えることだ。





















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この記事へのコメント

2015年01月05日 16:17
明けましておめでとう御座います。

昨年、素敵なコメントを頂いて居たのに(^^;)
伺うのが年明けに成ってしまって~

お恥ずかしい事に年末はバタバタで年明け
ダウンしてしまい締まりの無い年初めに

ちいかめさんの表現は哲学的ですね~
内の父は頭デッカチで生きたい様に生ききり
母は何時も尻拭いばかりストレス太りで巨大化
してましたが母に取っての 唯一の
お肉&お寿司を食べる事でした。 

既に両親は他界していますが~幼いから
大人に成るまで残る父の嫌な記憶も段々と
薄れ 今 痛切に思うのは…
母への親孝行で~私が幸せにして上げれば
良かったと後悔ばかり

ちいかめさんのお母様の体調を思う気持
が早くお母様に伝わるとイイですね。

こんな私ですが本年も宜しくお願いします

今年もノンビリ屋の私ですが宜しくお願いします
2015年01月05日 17:00
麗奈さん、コメありがとうございます^^
まったく、過ぎ去った日々は「こうすればよかった、ああもすればよかった」の繰り言ですね。
今は世の中の様々なことを学んで、良かれと思う行動をある程度自信を持って起こせますが、昔は守りに入るばかりで身勝手なことも多かった。
麗奈さんの手芸作品、いつも感心しております。
好きなことがあることは幸福なことですネ

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