###「兄の車」###

今使用中のパソコンは3年目で、モード変換キーがおかしい。

そろそろ替え時だ。

わたしが参加しているサイトの皆さん、

もしわたしと連絡がとれなくなったら、新しいパソコンを買いに行ったと

思ってしばらくお待ちください



兄が家を売却し、得意気にわたしが貸した金を返しに来た。

「家が売れたら返すから、金を貸してくれ」と言ってきたのは本気だった。

「家を売るくらいなら、なぜ車を売らないのか」と家族の誰もが思ったが、

兄は決して車を手放さない。



兄は高校を卒業するとき父に予備校に行かせてもらえるよう頼んだ。

突っぱねられるとやがて諦めて某厨房に手伝いとして就職したが、

次は調理師学校に行かせるように、

また並行してオートバイや車を買ってくれと言ってすべて叶わなかった。

父は子供に金をかける人ではなかった。

小遣いやお年玉といった、子供が自由に遊びの中から何かを発見できるように

使えるような現金はほとんどくれず、

実際、子供たちは学校生活が成り立たないので、

どうにも母の財布から無断で持ち出すしかなかったことを白状しなければならないが、

それに関して毛ほども後悔や悔悛を述べることはできない。

努力をする者にはそれなりに褒賞を用意しないでもなかったが、

成績悪く、家族を失望ばかりさせる兄に父は余計な金は与えなかった。

やがて兄は職場でいじめられ、引きこもり、家で暴れるようになった。

母も呼応するかのように色々世迷言を言っては大酒をあおり、

あちこちに狂ったような電話をかけまくり、

相手と争っては獣のように叫び声をあげるようになった。

連日連夜、2人を押さえつけるために父は手をあげた。

わたしは高校受験を控えていた。



兄がようやく父から1台の車をもぎ取ったのは、

父が兄を追い出して数年経ってから。

時々帰ってきては女の金切声のような声で父と争った果てに

父の2台ある車のうちから持って行った。

今、兄が運転している車は、父の金で買った3台目だ。

男の人にとっては車というのはそれほどに大事なものかもしれないが、

わたしにはわからない。

住む家がなくて、どうして安心して好きな絵を描くことができるものか。

住む家を売って返金してくれたところで微塵も喜べない。

皆が口をそろえて自分で働くように言っても耳を貸さない。

わたしが自分の簡単なバイトを勧めると、

その薄給をバカにして帰って行った。

もちろん、わたしの給料では生活費プラス画材代がせいぜい、

住居費、ましてや車の維持費にはならない。

そのあとで電話で「アパートに入居するから保証人になってくれ」

と、申し入れて来て、母にきっちり断られていた。

聞けば近所にも廃屋がポツポツ見かけられるようなさびれたド田舎で、

中古の家が売れたのは、よほど安く手配したに違いない。

部屋を借りれば金は瞬く間に無くなるだろう。

働かず、車を手放さない兄が持ち金を無くした時、

再びその車はさらに十分な力を発揮するだろう。

妹2人と年老いた母の住む家にしげしげと押しかけるために。











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